
『月は無慈悲な夜の女王』読後感
本作品についてのネタバレがあります。
以下ネタバレ600ページ以上になる大作だが、一気に読めた。
読み終わったあとはすがすがしい気持ちになった。
『幼年期』のときのようなモヤモヤ感は無い。
ストーリーをざっと言うと、月政府の中央管轄コンピューターの機械技師だったマニーは、自分が整備している巨大制御コンピューターが“意識”を持ち始めていることに気付く。
そして、“そのことを他の誰も気づいていない”
それこそが、この物語の中核だ。
マニーは、そのコンピュータにマイクと名付け、友情に似たものを築いていく。
マイクはその知能を次第に増していく。
物語を通して、マイクの人格は、一部の者にしか知られていない。
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マニーは反政府デモに偶然参加し、そこで、ワイオという女性と教授という男性と知り合うことになる。
マニーはワイオと教授に賛同し、月政府を打倒するための秘密組織を結成する。
ワイオ、教授の二人がマイクの人格を知らされることになる。
これからの月政府打倒への闘争は、マニー、マイク、ワイオ、教授の4人(3人プラスコンピュータ1台)が中心となって行う。
マイク(人工知能)はアダム・セレーネという偽の人格を作りだし、ルノホ会社という会社を立ち上げ、あらゆるところから金をかき集め、月の地下に巨大なカタパルトを建造する。
これこそが、地球への闘争のカギとなったのだ。
ある日、月政府の兵士が住民の女性をレイプする事件が発生する。
これを機に、月住民が大規模なデモを起こし、マニーらはこれに乗じてクーデターを敢行。
月政府は倒れ、アダム・セレーネ(マイク)、教授らが月世界の代表者となるのだ。
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さて、教授とマニーは地球に向かった。
地球の世界連邦に月の独立を認めさせるためだった。
そして、月に有機物を送るためのマス・ドライバーを建造することをうったえる。
しかし、月は流刑地であり、被保護民である月住人は地球軍の統括によって守られなければならないという意見によって、月の独立は認められることはなく、要求は却下されてしまう。
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月政府は、毎月の地球への“仕送り”である農作物の輸出を停止した。
そして、それを知った世界連邦は月に向けて2000人の軍を送る。
初めての全面的な対決は、地球軍2000名全員死亡、月住人6000人以上死亡という結果に終わった。
マニーは、マイク(人工知能)の正確な操作を頼りに地球に岩石を投下することにした。
以前からルノホ会社が建造していたカタパルトでだ。
月の重力は軽く、鉄缶で補強された重たい岩石を地球に向けて投射することはたやすいことだった。
世界連邦は月政府を過小評価していた。
兵器や宇宙船を持たない月政府が地球に反乱を起こすなど不可能だと思っていたのだ。
しかし、彼らには知恵があった。
月では重量6分の1である岩石も、地球に落下したときは核爆弾なみの破壊力を持つ。
この岩石を何十個も用意して周到に地球に向けて発射した。
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月政府は北米をターゲットにした。
北米の各地に核爆級の岩石が落とされる。
ミサイル防衛されていたダラスまでも破壊されてしまった。
北米のあらゆる都市が執拗に破壊されていった。
中国とインドは月政府の独立を認めた。
その17年後に月に有機物を輸送するためのマス・ドライバーが建造された。
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読後感
物語終盤の地球に向けて岩石を次々と投下するあたりは、なかなか爽快感があります。
地球でナンバーワンを誇っていた北米が、過小評価していた月にたかが岩石によって壊滅させられてしまうあたりは読んでいて面白いところです。
この物語は人工知能マイクの物語と言ってもいいでしょう。
この大がかりな計画の大部分がマイクによってなされたようなものです。
そして、物語の最後まで明かされなかったマイクの存在。
私はいつマイクの存在が人々にバレるのかハラハラしながら読んでいましたが、ついぞマイクの実際の姿がさらされることはありませんでした。
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感想、とにかく面白い。
読んでよかった。
そう思う作品でした。
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翻訳SF人気調査
『ソラリス』・『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム 1,071 60.4%
『幼年期の終り』アーサー・C・クラーク 1,282 72.3%
『夏への扉』ロバート・A・ハインライン 1,479 83.4%
『火星年代記』レイ・ブラッドベリ 1,028 57.9%
『虎よ、虎よ!』アルフレッド・ベスター 992 55.9%
『地球の長い午後』ブライアン・W・オールディス 854 48.1%
『万物理論』グレッグ・イーガン 606 34.2%
《ハイペリオン》4部作 ダン・シモンズ 526 29.7%
『ハイペリオン』ダン・シモンズ 741 41.8%
《ハイペリオン》2部作 ダン・シモンズ 631 35.6%
『ノーストリリア』コードウェイナー・スミス 655 36.9%
《新しい太陽の書》ジーン・ウルフ 336 18.9%
『ユービック』フィリップ・K・ディック 643 36.2%
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック 1,330 75.0%
『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン 1,158 65.3%
『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン 993 56.0%
『宇宙船ビーグル号』A・E・ヴァン・ヴォクト 745 42.0%
『順列都市』グレッグ・イーガン 602 33.9%
『ブラッド・ミュージック』グレッグ・ベア 749 42.2%
『エンパイア・スター』サミュエル・R・ディレイニー 159 9.0%
『アルジャーノンに花束を』(長篇版)ダニエル・キイス 1,179 66.5%
『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード 795 44.8%
『竜の卵』ロバート・L・フォワード 572 32.2%
『闇の左手』アーシュラ・K・ル・グィン 792 44.6%
『宇宙消失』グレッグ・イーガン 660 37.2%
『月は無慈悲な夜の女王』ロバート・A・ハインライン 811 45.7%
『逆転世界』クリストファー・プリースト 446 25.1%
『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』フィリップ・K・ディック 575 32.4%
『火星夜想曲』イアン・マクドナルド 316 17.8%
《銀河帝国興亡史》3部作 アイザック・アシモフ 750 42.3%
『結晶世界』J・G・バラード 574 32.4%
『中継ステーション』クリフォード・D・シマック 372 21.0%
『ディファレンス・エンジン』ウィリアム・ギブスン&ブルース・スターリング 319 18.0%
『ハローサマー、グッドバイ』マイクル・コニイ 251 14.1%
『航路』コニー・ウィリス 344 19.4%
『重力が衰えるとき』ジョージ・アレック・エフィンジャー 430 24.2%
『ディアスポラ』グレッグ・イーガン 515 29.0%
『光の王』ロジャー・ゼラズニイ 450 25.4%
『パヴァーヌ』キース・ロバーツ 206 11.6%
『キリンヤガ』マイク・レズニック 476 26.8%
『宇宙の戦士』ロバート・A・ハインライン 827 46.6%
『スキズマトリックス』ブルース・スターリング 474 26.7%
《銀河帝国興亡史》7部作 アイザック・アシモフ 398 22.4%
『スノウ・クラッシュ』ニール・スティーヴンスン 342 19.3%
『スターメイカー』オラフ・ステープルドン 106 6.0%
『流れよわが涙、と警官は言った』フィリップ・K・ディック 756 42.6%
『2001年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク 1,024 57.7%
『リングワールド』ラリイ・ニーヴン 722 40.7%
『タイタンの妖女』カード・ヴォネガット・ジュニア 727 41.0%
『人間以上』シオドア・スタージョン 706 39.8%
引用元:http://www.fan.gr.jp/~hosoi/alltimeenq/enq-alltime3.cgi
ここには出てきてないですが、バリントンJベイリーの『永劫回帰』、マイケルクライトンの『スフィア(球体)』なども面白かった記憶があります。高校以来のファンです。
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草琢仁

こんな絵を描きたい。
今日もポスターカラーデッサンしようと思います。
モチベーション次第ですが。
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日
モチベーション次第
英
dependent on motivation.
韓
모티베이션(motivation)대로
モティベイション デロ
中
动机如何
dong4 ji1 ru2 he2